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2006-04-04-01-【PipeWorks】 Side story - 4:ささやかな実験

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最終更新日付:2013/12/31 07:39:31


PipeWorks】 Side story - 4:ささやかな実験

2006 年 04 月 04 日

(前回までのあらすじ)

組合とピノフスキ氏が裏で不可解なつながりを持っていることを突き止めたあなたは、ピノフスキ氏との面会に臨む。しかし、そこであなたを待っていたものは...

 

いや、見事でしたね。あんな方法で取引明細を手に入れるとは。しかし、あなたは探偵にも詐術師にも向いていませんよ。あなたは職人なんですから。どうして気づいたのかって? 書留を誰が受け取るのか、テッドが見張っていたんですよ。組合のビルの向かいの電話ボックスからね。

『銀行から確認の電話があったんだ。』テッドが口をはさんだ。『似たような手口で情報を盗まれる事件があるらしくてね。で、現場を押さえようということで、実際に書留を送ってもらった。僕はそれを監視していたというわけさ。配達員にも、受け取った人間の顏を覚えておいてもらうように含んでおいたしね。』

...まぁ、そういうわけです。テッドはすぐ私に電話してきました。しかし、犯人があなただと聞いて安心しましたよ。何のために明細を見たがったのか、すぐにわかりましたからね。そして、ここにやって来るだろうということもね。案の定、あなたはすぐに連絡してきた。だから、テッドにも同席してもらったというわけです...テッド、休みの日にすまなかったね。あとは2人で話をするよ。

テッドが退室しようとしたので、あなたは詫びを言った。テッドは笑いながらあなたの肩を軽く叩いて言った。『書留を受け取ったのが組合の人間でなきゃ、周りを張ってた私服警官が取り押さえてたとこさ。ピノフスキさんは警察にも顔が利くみたいだからね...この件が表沙汰になることはないから大丈夫。ピノフスキさんに感謝しなよ。』 テッドは部屋を出て行った。

 

ピノフスキ氏はゆっくりと話し始めた...

さて、どこからお話ししたものでしょうかね。ま、あなたのことですから大体の察しはついていると思いますが。要するに、これはささやかな実験だったんです。私は、最初こんなふうに考えました。職能という点において、人間がもっとも成長する条件はなんだろうかと。そして、自分にできるちょっとした実験を思いついたのです。それは、もうあなたも御存知のとおり、配管工事の市場に介入して配管工の仕事内容と報酬を操作することでした。もちろん表立ってそんなことはできませんからね。組合を裏から支配し、腕が上がるほど稼げるような体制を作ったのです。もちろん、クライアントに法外な請求をするわけにはいきません。だから金の流れは組合が一手に握り、そこに私の資金を投入したんです。そして私自身は、組合の上客という立場をとり、いろいろと挑戦的な仕事を発注しました。こうして、裏と表の両側から配管職人達を観察することにしたんです。

私がこういう方法で実験をしたのは、非常に対照的な体制がすでにあったからです。ほとんどの産業はそうですが、コストの切り詰めにばかり汲々としています。成功することよりも失敗しないことを優先した結果、挑戦など滅多に見当たりません。あんな状態ではせいぜい無難な仕事をするのが関の山で、腕のいい技術者がさっぱり育ちません。当たり前です。挑戦もなく、失敗も許されなければ、職人はどうやって成長できるのでしょう? だから、私はそのちょうど逆のことを試すことにしました。それが今の配管工組合です。

この実験のために少なからぬお金を使いましたが、実験はまずまずの成功を収めました。もちろん、いろいろなタイプの配管工がいましたよ。欲に駆られて破産する人も何人も見てきました。手堅い仕事をするばかりで欲の無さ過ぎる人もいましたね。それでも、この実験が成功だと言えるのは、あなたのような人がたくさん出てきたからです。あなたはジムの教えを忠実に実践しました。無理をせず、欲を出しすぎず、良い仕事をすることを第一に考えています。このような姿勢が、環境によって後押しされることもあれば潰されることもある...逆に言えば、環境というのは触媒のようなもので、職能や向上心に直接影響するものではありません。しかし、それを育てたければ、必須のものなのです。

これまで、組合の後ろに私がいることはほとんど誰にも気付かれませんでした。まぁ、気づかれたところでどうということもないのですが、せっかく作り上げた環境はこのままにしておきたいと思いますのでね...さぁ、私からお話しすることは以上です。あとは彼と話をしてください ─── ピノフスキ氏はそう言ってあなたの背後のドアを指差した。

あなたはもう驚いたりはしなかった。入ってきたのは、ジム・ウィルキンソンだった。

(続く)

 

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