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2006-04-05-01-【PipeWorks】 Side story - 5:ジムの履歴書

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最終更新日付:2013/12/31 07:39:30


PipeWorks】 Side story - 5:ジムの履歴書

2006 年 04 月 05 日

(前回までのあらすじ)

ピノフスキ氏本人によって明かされる彼の「実験」、そしてその場に現れたジム・ウィルキンソン。彼もまた向こう側の人間なのか...?

 

ジム・ウィルキンソンは、必ずしも自慢できるような人生を送ってきたわけではなかった。彼の半生にはさまざまな出来事が織り込まれていたが、彼自身の口からそれが語られることは決してなかった。今、ピノフスキ氏の部屋へ通じるドアの前に立ったまま、ジムは久しぶりに自分の過去を振り返っていた...

ジムの父親は大工だった。腕のいい昔気質の職人がたいていそうであるように、ジムの父親もまた頑固で意地っ張りだった。そして、思春期の青年がたいていそうであるように、当時のジムもまた父親に強い反発を感じていた。ジムは、中学を出たらすぐに大工の修業を始めろと言う父親と大喧嘩をした。父親は勘当だと言い、ジムは出て行くと言った。そしてジムはその通りにした。

ジムは職を転々としながら学校に通った。大学を卒業するまでに普通の人の倍近くかかったが、それは彼が怠惰なためでも学力に問題があったためでもなかった。生活費と学費を稼ぎながら勉強を続けることが困難だったのだ。彼は休学して働き、学費ができると大学に戻る...そんな生活を繰り返した。そしてジムは学位をとり、一流企業の社員として社会に出た。しかしその後、ジムは自分の人生の選択を後悔することになる。

社会に出たジムを待っていたのは、妥協と言い訳と帳尻合わせの日々だった。ジムは、自分が求めていたはずのものがここにはないことをすぐに理解した。そして、そこには自分を必要としているものもまたなかったのだ。ジムは仕事を捨てた...何年か後、ジムは配管工としてこの街で働き始めることになるが、その間の彼の経歴については良くわかっていない。

ピノフスキ氏がこの街で「実験」を始めたとき、ジムはその意図にすぐに気付いた。そして、彼の挑戦を受けて立ったのだ。ジムは困難な仕事を次々と完成させていった。「前人未踏(Untrodden)」と名付けられたピノフスキ氏のあの傑作を、最初に完成させたのはジムなのだ。ジムはその他にも、フィールドを可能な限りパイプで埋め尽くす技術を確立したことでピノフスキ氏から賞賛を受けている。ここでは、ジムの代表的な仕事をいくつかみてみよう。

 

 

ジムはピノフスキ氏と初めて話をしたとき、彼の実験について話をしてみた。ピノフスキ氏は別に驚いた様子を見せなかった。ジムは実験の目的を的確に理解していたし、それはジムにとって同意できないものではなかった。ピノフスキ氏は秘密を守ってくれることだけを望み、ジムはそれを約束した。以前からずっと優秀な職人を育てるよう努力してきたジムにとっては、彼の実験の持つ意味とその成果は明らかなものだったのだ...

...ジムは家を出たあの日以来、父親には会っていない。頑固さという点では、ジムも父親には負けていなかった。結局、ジムだって父親の血を受け継いでいるのだ...しかし、あまりにも長い時間が経ちすぎた。時折母が連絡してくる内容によれば、父は仕事を畳んで隠居して以来、めっきり老け込んでしまったそうだ。今なら...時折ジムはそう考える。随分と遠回りしたが、結局ジムは父親の背中をずっと追いかけてきたのだ。いつか、謝らなければならない。礼を言わなければならない...そう、2度と会えなくなる前に。

しかし、その前にやらなければならないことがある。この扉の向こうでピノフスキ氏と面会している、あの若き配管工と話をつけなければならない。ピノフスキ氏はいつだって楽観的だが、最悪の事態は避けなければならない。荒っぽいことはしたくないが、どうしても必要となれば致し方ない...

ジムはドアを開けた。そこには、意外なほど落ち着き払ったあなたの姿があった。

(続く)

 

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