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2007-01-27-01-傾いた土俵 ─ 著作権延長論議に寄せて

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最終更新日付:2013/12/31 18:57:55


傾いた土俵 ─ 著作権延長論議に寄せて

2007 年 01 月 27 日

著作権延長論に物申す ─ 驕るな、クリエーター! 著作権保護は「創作から5年」で十分』というコラムを(たまたま)目にした。全文を読むには会員登録が必要なので途中までしか読めなかったのだが、読んだ限りでは同意しつつも論点がズレているという感想を抱かざるを得ない。今日はそれについて少し書こう。

まず最初に陰郎の立場を改めて明らかにしておこう。陰郎が著作権保護期間延長に反対なのはもちろんだが、その理由は「著作権制度の本来性」である。著作権制度が国民の利益を最大限に大きくするために著作者に「一時的に許可された」ものであること、国民による複製や再使用は自然権であり、著作権は定めれらた期間のみ権利の廉売によって利益を著作者が独占することを許可しているに過ぎないということ...陰郎はその立場から著作権保護期間延長に反対する。なぜなら、著作権を保護するために法の名の下に売り渡される複製などの権利の価値が向上してきているからだ。著作権を保護するために国民が受ける制限が相対的に大きくなってきているからだ。著作権保護期間は逆に短くされなければならない。これらのことについては、過去に3回にわたって書いたことがあるのでリンクを載せておこう。昔ボイスブログをやってみたときの内容である。

さて、件のコラムを読んでみる限り、そういった話題はでてこないように見受けられる(会員しか読めない部分に書かれているのかもしれないが)。著作権保護期間の議論をするのにそばやうどんを持ち出すこともないだろうに。なぜ著作権制度の最終的な目的をはっきりさせた上で議論しないのか。土俵が傾いてしまっているのだ。その上を転がる議論は自動的に一定の方向へ向かうようにできてしまっている。それは著作権制度によって利益を得ている出版社などに有利な方向だ。

ところで、このコラムを書かれた山形 浩生氏は、本文中で取り上げているシンポジウムでのやり取りに関して、以下のように書かれている。

松本零士が高く評価されるのは、彼が多くの人よりはるかに上手に、あるいは味わいのある絵を描けるからだ。そして、その作品を読んで感動を覚える人たちがとても多いからだ。だが、そば屋が評価されるのも、そのそばの打ち方、ゆで方が凡人よりずっとうまいからだ。これは、あらゆる仕事について言えることだ。なぜ、漫画家だのアーティストだの作家だのの仕事だけを特別扱いしなきゃならないのか?

...ひとまず、これを読んで陰郎が最初に言うべきことは、「特別扱いしなきゃならない理由などない」ということである。しかし、その次に言うべきことは「しかし、それは著作権保護期間延長問題とは何の関係もない」ということである。理由は最初に書いたとおりだ。

それにしても松本零士は欺瞞的だ。彼は著作権によって生活の糧を得ているはずなのに、著作権について何もわかっていないのではないだろうか。わかっているのであれば、あのような主張は出てこないだろう。とはいえ、いわゆる作家などの著作権で生活している人々は出版社などに首根っこをつかまれているのかもしれない。彼は単純に出版社のスポークスマン役をやらされているだけなのかもしれない。著作権保護期間延長論議に出版社の人間がのこのこ出てくるよりは、いわゆる「書いてる本人」がさも切実そうに訴えたほうがもっともらしく見えるというものだ。そういう意味であの構図を「いやらしい」と思うのは陰郎だけだろうか。

著作権保護期間を延長するべきかどうかは、論争による勝ち負けや多数決で決めるようなものではない。どの程度の保護期間で国民の享受できる利益が最大になるか、それによって決定されるべきものであり、「正しい」か「間違っている」かの問題なのだ。勝ち負けの問題ではない。もちろん、どの程度の期間が正しいかを見極めるのは簡単なことではない。しかし、そういった難しい問題を考え抜き、法として定め運用するためにこそ我々国民は公僕たる政治家や官僚を雇っているのだ。民間で議論をするのは大変結構なことであるが、誠実さを欠く議論ではたいてい声の大きな奴が幅を利かす。出版社などの利益団体はその典型だ。少なくとも法を定める場ではそのようなことが起こらないよう、切に願う。

 

コメント

alg - 01/28/2007 10:44:26 PM

何となく気になったので、会員登録して続きを読んでみました。

おおーざっぱにまとめると、「著作権の延長を正当化するような変化が世の中にないのだから、保護期間を延長する必要はない」ということだと私は理解しました。

もっともだと思います。

その後「最近の著作物は昔と比べて相対的に価値が下がってきているから、むしろ保護期間は短縮すべき」と続くのは、個人の感性に依存する部分であり何とも言えない気分になりましたが。

以下は私見です。

デフォルトの保護期間は数年程度にして、著作権者の申請があった場合に期間の延長を認める、ってのがいい気がするんですけどね。まあ申請先はどこにするんだとか、申請されたら何でもかんでも延長していいのか、とか、色々問題はありそうですが…。

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