2008-01-06-01-Inside Japonica - 4 - ルビ表示
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最終更新日付:2008/01/06 01:00:00
Inside Japonica - 4 - ルビ表示
2008 年 01 月 06 日
さて、縦書き、ドラッグスクロールに並ぶ目玉機能である 「 ルビ表示 」 機能。Inside Japonica の第4回はこれについて。
まず、最初のポイントとして、陰郎自身はルビ表示機能に消極的であったことを白状しておきます。理由は以下のとおり。
- ルビデータを含む文書は限られている。
- 倍精度デバイスでなければ使用できない。
- さらに、大きい方2つのフォントを使っている場合に限られる。
- さらにさらに、必要十分な行間が必要。
つまり、条件として狭すぎるのです。すべての条件を満たさなければ、事実上ルビ表示は意味がありません。しかし、ルビデータをきちんと処理しなければこんなふうに|表示《ひょうじ》されるのです。
とりあえず、最初のポイントを無視するとします。やっぱり青空文庫のルビデータはなんとかしたいですからね。となると、画面解像度や使用フォント、行間、とにかくどんな状況でもルビに対応できるようにしたい...と、そこから考えついたのが、『 下線(傍線)を引いてタップするとポップアップでルビ表示 』 というものだったわけです。
これを実装してみて、どんな状況でもルビデータを処理できるようになったとき、個人的には 「 これで十分、というよりこの方が望ましい!」 と考えたのです。で、縦書きでも同じように処理できるようにして、それからしばらくルビのことは忘れておりました。
次にルビに注目したのは、下線付きテキストをタップするのが、なんとなく Web ブラウザのように見えたときでした。これで何か面白いことができるはず...と、当然のように考えたのが、「 指定位置にジャンプできれば便利かな? 」 というもの。何をできるようにするかはともかく、これを 「 ルビ拡張機能 」 と位置付け、やってみることにしたのです。基本的には説明ドキュメントにあるとおりですが、まぁ中途半端といえば中途半端な拡張機能ではあります。なぜ中途半端かといえば、Japonica での閲覧を前提とした文書でしか使えないから。だからこそ拡張機能なんですけどね。
では、下線ではなく実際にルビを表示する機能 ── リアルルビ表示と呼んでます ── を実装するに至った経緯はと言いますと、実はこれまた対抗心からなのです。陰郎自身は、年末のリリースにはリアルルビ表示は間に合わない、と思っていました。それに、下線によるルビ処理はより広いデバイスをサポートするのですから、それでいいじゃないか...と考えていたのです。
陰郎の気を変えさせたのは、WithPalm に掲載されたPooK の紹介ページでした。ご存知のとおり、PooK は日本語化した英語版デバイスではルビの表示が不自然になります。陰郎もそれは知っていました。というか、それしか知らなかったのです。しかしこの紹介ページでは、CLIE でのルビ表示例も掲載されていました。自然でした。ルビ表示はこうでなければならない、と陰郎が思っているとおりの表示...これを見て、闘争心に火がついたのです。
あまり詳細は覚えていないのですが、下線をタップしてルビ表示...という下地ができあがっていたため、リアルルビ表示機能はほとんど時間をかけずに実現できたように記憶しています。ポイントは、リアルルビ表示の場合でもタップでポップアップ、という仕様にしたこと。これはその方が楽だったというのもありますが、小さなルビが読み難い場合にはポップアップで読み取ることができる、という配慮が表向きの理由です。
横書きのリアルルビ表示は、たしかに簡単に実現できました。しかし、縦書きのリアルルビ表示で陰郎はとあることに気づきます。それは、『 ルビ描画でも文字回転が必要な場合がある!』 ということでした。Japonica のルビ表示では、それがひらがなでなくても全角でなくてもルビ指定書式に従っていれば処理する仕様になっています。ということは、必要ならズラしたり回転したりもしなければならないのです。一瞬愕然としましたが、これも思っていたよりは簡単に切り抜けることができました。
おそらく、リアルルビ表示が可能である状況で、ポップアップ方式のルビを利用する人はいないのではないかと思います。しかし、決して視認性が良いわけではなくとも、どのようなデバイス、設定、状況においてもルビデータを処理できる方式を提示できたという点では、陰郎はポップアップルビに満足しています。といっても最近愛読している青空文庫のシャーロック・ホームズのシリーズではもっぱらリアルルビ表示ですけれども。
続く
コメント
hiro - 03/10/2008 07:28:25 PM
陰郎 - 03/10/2008 09:08:34 PM
> hiro さん
はじめまして。
傍点表示の件、ひとまず案件に加えておきます。
ただ、あまり期待はなさらないで下さい。ルビとは異なり、傍点はいわゆる注記書法によって指定されていますから、厳密な定義がありません。また、たとえば|この部分にルビ《このぶぶんにるび》などといったルビ指定とは異なり、注記書法は前もって処理の必要な開始点を検出することができません。ですから、傍点を実現するにはたとえば行末を限度とする先読みをしなければならないわけです。
これをパフォーマンスに影響を与えずに実現する方法は、今のところ思いつきません。方法があれば、やる価値はあると思います。
匿名 - 03/11/2008 02:49:28 PM
わかりました。
陰郎さん、お願いします。
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はじめまして。
japonica使わせてもらってます!
とても重宝しているんですが、青空文庫でダウンロードしたテキストで傍点表示ができないのを改善してほしいです。
お願いします。